minamiiin’s diary

病気を楽しくしたい、そんな夢を叶える冒険記です

小児病棟でのVR体験会の実施〜医療現場におけるVRの可能性〜

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皆さんは今までに病気に罹って入院したという経験、怪我をして外に出られなかった経験はありますか?「自分はないよ」という方も、友達、家族、恋人などの大切な人を含めるとどうでしょうか。想像してみてください。自分もしくは大切な人が部屋にこもり切りになってしまっている姿を、また病室で退屈そうにしている姿を。そんな状況でも、なんとかして楽しませてあげたい、外の景色を感じて貰いたいと思いませんか?少なくとも私は、自身の数十回の入院体験から、また多くの患者さんと交流することでそのように感じました。入院しているとこんな気持ちが沢山あります。

 

・一日が長く感じる

・何で自分だけこんな目に遭わないといけないんだ・・・

・外に出たい

・学校に行きたい

・治療は痛くてもうやりたくない

・さみしい

・不安

・退屈

・病室から窓の景色を見るのはもう飽きた

 

本当、入院中ってネガティブな気持ちが多いんです。

 

でも私は今、こんな気持ちになっています。

 

”病気”を将来に繋がる良いものにしたい!

 

→私自身「病気さえしなければ今頃は・・・」と何度も思いました。また、幼いことから自分はハンデを背負って生きていかなければならないのだと感じていました。”病気”というものが100%ネガティブなもので、自分の心もどんどん暗くなっている気がしました。何か嫌なことがあるとすぐ病気のせいにしたり、自分の言い訳に使ってしまったりと。でもあるとき、それって凄く悲しいことだと気づいたのです。いくら自分の運命を嘆いてみても、過去を悔しがっても何も起こらないからです。”病気”をすることによって今まで気が付かなかった新しい発見があったり、夢を持つ機会になったりしたら病気というものがネガティブなものではなく、ポジティブなものになると思うのです。

 

ではどうするか?どうしたら病気っていうものがその人自身の将来に繋がる良いものになるか?って考えました。

 

その一つの方法としてVRがあるのだと私は思っています。

 

入院中の患者さんは、窓からしか外の景色を見ることができません。病状によっては病室の中で亡くなってしまう人もいます。実際に、私と同じ病室に入院していたある男の子は小児がんで亡くなってしまいました。VRで色々な世界の体験を提供することは、そういった患者さんに対して「退院したら〜に行ってみたい」、「〜したい」などの夢を提供することにも繋がり、さらに患者さん本人の治療に対するモチベーションの向上も期待出来るのではないかと思いました。

 

みなさん、VRの世界を体験したことはありますか?VRは、見かけ上は現実ではないがその効果あるいは本質的には現実そのものである世界を体験することができます。それにより、実際にそこに行かなくても遠い場所の景色や世界を一種の現実として体験することが可能となるのです。さらにVRによる体験は、今や誰でも安価に購入できる時代になりました。また、教育分野、物件案内、シミュレーション、ゲーム、スポーツ、医療など多様な分野への応用が期待されています。また、団塊世代が全て75歳以上になる2025年問題、団塊ジュニアが65歳以上になる2035年問題に先駆け、高齢者向けのVRの需要はますます加速していくと考えられます。最近話題になっている引きこもり問題の解消の一手としてVRが役立つかもしれません。さらに、遠い場所にリアルタイムで自分を存在させることのできるテレイグジスタンス技術や、身体性メディアの研究が活発に行われています。こういった背景の中で私はVRによる医療への適応、特に人の心理的な影響について考えるようになりました。

 

入院している方々、特に小児患者を対象としてVRで一体何ができるのか?常に模索しているのですが、主に以下の3 つが挙げられると思います。(*現段階では仮説に過ぎません)

 

1. 行きたい場所への旅行体験の提供

→自分の知らなかった景色を見たり、行ってみたかった場所へいったりすることで前向きな思考、楽しさ、コミュニケーション、治療に対するモチベーションを提供することができる。

 

2. 授業の提供

→学校に通えない患者さんに対して、病室の中でも学校の友達と一緒に授業を受けることができる。

 

3. 体験型・治療説明

→痛い治療はやりたくない。また、手術前など何が起こるのか分からないという不安感がある。そこでVRを使って、色々な目線から見た検査や治療の説明をすることが出来る。

 

 

今回は、1. 行きたい場所への旅行体験の提供について実際に行った感想を書こうと思います。

 

ある大学病院の小児病棟でVR旅行体験会を実施しました。スタンドアローン型のOculus Goや低年齢向けのハコスコを使って日本各地(10地点)+ハワイの旅行体験を届けました。

 

自分の体験からこうなんじゃないかっていう一種の仮説があり、実際にやってみて色々なことが見えてきました。

 

当然全部は書けないのですが、一言でいうとVRの価値みたいなものを感じました。

 

感覚的な表現で申し訳ないのですが、VR旅行体験を提供することによって、その場の雰囲気が暖かくなったように感じました。生まれる自然な笑顔や、コミュニケーション、そして旅行体験による心の刺激がそうさせているのかもしれません。ベットの上からでも楽しめるといったところがやはり魅力的だなと感じます。また、色々な場所に興味を持った子が多く、前向きな思考が一瞬ですが生まれた気がしました。VRどうこう関係なく、やはり楽しんで貰えたのが一番嬉しかったですかね。

 

まだまだ、始まったばかりですがVRを使って色々な人に笑顔を届けていければなと思います。

 

おわり。