川崎病の親の会にて
自転車で川崎から日光まで行ったときのこと。
普段自転車なんか滅多に乗らないのに、その頃の私に怖いものなんか無かった。
日光って近そうだから、余裕だろ。
そう思って友達を誘い、朝の6時に家を出発。
その日の夜にペンションを予約していた。
1日で行こうと思ったのが間違いだった。
雨降りしきる中、山道をかけのぼる。
残り5分の2程でダウン。
当たりは真っ暗だった。
もう走れない。
なんで1日で行こうとしたんだろ。
もう引き返せない。
進むしかない。
けど動けない。
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そんなとき、ちょっと先の小さなコンビニに入った。
そこの店主はとてもやさしかった。
自転車で旅をしていると伝えると、お店の品全品を半額にしてくれ、おまけに店頭にあった大福をくれた。
「お前ら頑張れよー!」
その一言で元気がでた。
よしっ!
雨降りしきる中、山の中、真っ暗闇の中
友達と大声で叫びながら
必死に自転車をこいだあのときを
私は一生忘れないだろう。
夜11時、宿についた。
私と友達は倒れこむように眠りについた。
川崎病の親の会にて
昨日、「川崎病の親の会」主催の講演会に参加した。
北里大学の先崎先生による、川崎病についてのおさらいと最新の研究情報。
昔に比べると、川崎病は広く知られるようになり、お医者さんの素早い対応により冠動脈後遺症を発症する割合が今後少なくなるだろうというのは喜ばしいことであった。
また、カテーテルなどの患者に負担のかかる検査をなるべく行わず、基本はMRIやCTで診るというお医者さんが増えてきているというのも、私にとっては嬉しい限りである。
医療関係に関する情報は、どうしても慎重になってしまうので、また後日川崎病に関する知識や、体験談などを発信出来たらと思っている。
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最後に、先崎先生というお医者さんに質問したことが一つある。それは、
「今までの経験の中で医者として限界を感じたことはあるか。またそれはどういう時か。そして、こういうことが出来れば良いなと思った瞬間はあるか」
というもの。
我ながら、パッとは答えられないであろう難しい質問をしてしまったと思ったが、どうしてもそれが聞きたかったのだ。
先崎先生が仰っていたのは、
「医者として出来ないなあと感じたことは山ほどある。例えば、自分の患者さんが中々本音を言わないのに、看護師さんには正直に症状について伝えているケースも結構ある。患者さんの病気を包括的に治療するためには、医療、福祉、大学、教育など色々な分野を組み合わせていくことが必要になってくるんじゃないかと思う。」
というものであった。
なるほど。
今まで多くの患者さんを診てきたお医者さんの意見は説得力がある。
そして私が思っていたことと、共感するところがある。
ただ、そこに多くの課題が潜んでいることは知っているし、むしろまだ気づいていないことの方が多いだろう。
とにかく今は、自分以外の人の声を聞くこと。
それを意識してやっていきたい。
終わり。