台風日記
トュルルル、トュルルル
目覚ましが鳴り、目が覚める。
台風19号が通り過ぎ、部屋には暖かな日差しが差し込んでいる。
昨日の夜の騒がしさが嘘のように、やさしくて穏やかな気配を感じる。
そうだ、今日は午前中、友人と会う約束があったんだ。
すぐに、スマホで電車の運行状況をチェックすると、まだ動いてないようだ。
プルルル・プルルル
電話がなる。
友人からだ。
お互いの予定を確認し、また今度にしようということになった。
その友人と久々に会うのを楽しみにしていたから、昨日のことなど何事もなかったかのように、堂々と輝く太陽が少し恨めしく思えた。
外に出ると、台風の残した跡がはっきりと見てとれる。
道路は木の葉が散乱しているし、誰のか分からないちりとりが無造作に置いてある。
家の周りを眺めてみると、ふと一つの植物が目に入る。
”沈丁花”だ。
これは、私が小学校入学時に記念樹としてもらったもの。
しばらく見ないうちに、結構大きくなったなあ。
”沈丁花”という植物は、一年中葉を茂らせることから、その花言葉は
永遠、不滅。
その言葉通り、何の手入れもしていないのに、私の成長に合わせてスクスクと育っているようだ。
台風によって、昨日楽しみにしていた予定も、今日の予定も流れてしまったけど、
まっいっか、そういう日があっても
そう思った。
今日はこれで、終わり。